権現ヶ尾風力発電所はどのように建てられたか
風力発電所の建設風景はなかなか見る機会がありません。
今回はその発電所建設風景を鹿児島県鹿児島市下福元町にある権現ヶ尾風力発電所の建設を例に取り、風況調査状況から追ってご覧に入れましょう。
風況精査
建設候補地に風況精査用のポールを立てます。この他にも、短期間でしたが2地点風況精査用のポールを立てました。比較した結果、ほぼ全般にわたり最初の建設候補地が一番風況が良いことがわかりました。地上高25m、15m、10mの3箇所に風向風速計を設置し(25mは後に撤去)、総測定月数20ヶ月をかけました。(平成12年度からはNEDOのフィールドテストで使用するポールの高さは30mになっています。)ちょっとみにくいですが写真中央よりやや左に測定ポールが見えます。
基礎工事
基礎はおよそ15m(W)×15m(D)×4m(H)。1600tほどのコンクリートを使用しています。
この大きさ・量は建設場所の地質によって異なりますが、ここは奥深いところまで岩盤ですので、杭などは打っていません。
一番上部を残し後は全て埋め戻しました。
陸揚げ風景
陸揚げはあいにく雨中の作業となりました。
- 1番目の写真は輸送船の船倉が開けられた直後の写真。
- 2番目の写真はポールの1段目を積み出している所。
- 3番目の写真はナセル部分をトレーラーに乗せる所。
クレーンの横に既に下ろしたローターブレードが1枚置いてあります。ローターブレード1枚でも幅は人間の背丈よりも高く巨大なものです。
ブレードの側面にはローターブレードが失速しにくくするための工夫がみれます。(残念ながら写真では解りません)
これらの部品は組立てが始まるまでしばらく港で保管され、ここから4kmほどの現場に夜間搬送されました。
ポール1段目取付
設置工事1日目は雨と霧の中で行われました。メインのクレーンは350t。従来ならもうひとつ上のクラスのクレーンを使うのですが道路事情等によりこのクレーンになりました。しかし、これでも大きい!!
基礎のコンクリート部とポールとは内外フランジでボルト締めになります。塔全体が設計通りの平行垂直度が出ているかはこの時点で調べます。
ポール2段目取付
2段目のポールを取付けます。
2段目3段目はそれぞれ20mあります。中に作業員がおり内フランジのボルト締めを一斉にしていきます。
ポール3段目取付
3段目つまりポールの最上部を取付けます。この上にナセル部が載ります。ここまでの地上高は約45mです。
2段目も3段目もその下のポールとは内フランジでボルト止めしてつないでいきます。
ハブと増速機の組立て
2日目の作業はこの組立作業から始まりました。
重量の関係上、ナセル部分からハブと増速器をはずし、まずナセルを取付け次にハブと増速器を取付けました。
ここではハブと増速機を地上組立しています。ちなみにナセルの中は右図のようになっています。
ハブの羽根の取り付け部には無数のボルト用の穴があいており、羽根を吊り上げるときには1個もずれないように慎重に作業することになります。
この風車はストール制御ですので羽根の角度は固定になります。従って、立てる場所の空気密度によって取り付ける角度を変えることになります。
ナセル取付
メインイベントのナセル取付け。写真ではあまり大きさが解りませんが、ナセルだけでもマイクロバス程の大きさがあります。
ちなみに、上の陸揚げ風景の一番左の写真がナセルを斜め後ろから撮影したものですのです。
ハブ取付
いよいよ地上で組立てたハブと増速機を取付けます。右の写真でクレーンが吊り下げているのが増速機です。
ブレード1枚目
ブレード3枚をナセルに取りつけてから運び上げる方法もありますが今回は1枚づつ取付けていきます。
一枚目のブレードの取付け。まず、地上で先端のチップブレードを取付け、それを水平にしたままハブの取付け部に差込みボルト締めします。
ブレード2枚目
さらに2枚目。電動モーターで1枚目のブレードをゆっくりまわし120度回転させます。このポジションで2枚目のブレードを取付けます。
ブレード3枚目
いよいよ最後のブレード。2枚目同様120度回転させて3枚目を取付けます。ここまで取付ければしめたもの。
一応、風車の形になりました。
完 成!
ついに組立てが完成しました。早朝8時からはじまった今日の工事は、やっと夕日の中で完成しました。組立て日数は2日間。
ここまで出来ていれば、プレハブ住宅を建てるようなものです。
でも、組立てが完成しただけで工事がすべて完成したわけではありません。これからさらに、電気工事・系統連系試験と続き、完工までにあと数ヶ月は必要とします。